動物用抗菌剤の基礎と応用。 薬剤耐性菌に関する研究調査、 知識及び技術の普及を目指して。

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EUにおける新規動物薬規制と輸入畜産物に関する規制の導入

 EUでは新規の動物薬規制2019/6を採択し、2022年1月末より適用を開始することになっています。この新規規制は動物薬の法的枠組みを刷新し、動物薬の技術革新の促進や入手性の向上、さらには薬剤耐性(AMR)への取り組み強化などを目的に、従前の法規から大幅な改定が行われます。とりわけ、抗菌性医薬品の製造販売承認の拒否事項、使用規制、並びにEUに輸入される動物由来製品への規制について大きな注目を集めています。具体的には以下の規定が盛り込まれています。
  • 承認については、成長促進目的の抗菌剤の承認、耐性リスクの高い抗菌剤や人用抗菌剤として使用制限のある抗菌剤の承認の禁止(37条)、
  • 使用については、抗菌剤の恒常的使用、不適切な飼養管理を補完する使用、成長促進目的の使用、予防目的の使用(一部例外を除く)の禁止(106条)、
  • EUに輸入される動物由来食品についても、その生産過程での抗菌性成長促進剤の使用、EU内で人体用に使用制限される抗菌剤の使用禁止(107条)
 上記の通り動物用抗菌剤の使用については、他国や国際的な動きよりも先行して厳しい規制が導入されることになりますが、人体用抗菌剤として使用が制限され、動物への承認や使用の制限を受ける抗菌剤、成長促進剤として規制を受ける抗菌剤のリストについてはこれから公開されることになっています。いずれにしても、これらの規制はEU圏内の抗菌剤の使用にとどまらず、EUへの輸出を予定する諸外国での家畜の生産段階への抗菌剤使用にも影響することとなり、その影響は世界各国に及ぶことから、世界的に大きな関心を集め、各国が当該規制導入について意見を述べている状況にあります。 引用:
  1. EUの新たな動物用医薬品規制に係る事業者説明会(令和3年11月2日)農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/attach/pdf/eu_amr-1.pdf
  2. 農林水産省:EUの新たな動物用医薬品規則への対応 https://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/eu_amr.html
  1. EUにおける動物用医薬品規制 https://www.ema.europa.eu/en/veterinary-regulatory/overview/veterinary-medicines-regulation
  文責:福本一夫(エランコジャパン株式会社開発薬事部)

2021.12.06|おしらせ

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